【この記事でわかること】
- ネットワーク工程表とは何か――バーチャート・ガントチャートとの違いと位置づけ
- 作業・結合点・ダミー作業などの用語と、アロー型・サークル型の2方式
- 作り方の5ステップと、クリティカルパスの求め方(最早・最遅・トータルフロート)
- 作成・更新の3つの課題と、AIによる自動作成・クリティカルパスの自動算出で効率化する方法
「ネットワーク工程表は工期管理に優れているのは分かっている。
でも、作るのが難しくて結局バーチャートで済ませてしまう」――これは、職人AIが伴走支援する建設業の現場監督・工務担当者から繰り返し聞く本音です。
ネットワーク工程表は、作業の依存関係とクリティカルパスを論理的に把握できる、工程管理として最も精度の高い形式です。
それでいて、手書きでの作成や更新には専門知識と手間がかかるため、中小建設業の現場では敬遠されがちな存在でもあります。
一方で2026年現在、ネットワーク工程表の弱点だった「作成・計算の難しさ」はAIによって大きく変わりつつあります。
工事条件を入力するだけで作業の依存関係を整理し、クリティカルパスを自動で算出するAIエージェントや、裏側でネットワーク的に依存関係を保持しながら現場には分かりやすいバーチャートで表示するツールが実用化されています。
ネットワーク工程表の「論理的な強さ」を、誰でも・速く使えるようにすることは、現場監督の負担軽減と工期遵守を両立させる経営テーマです。
本記事は、職人AIの共同創業者の家業である有限会社結設計(千葉県木更津市、創業63年)の現場知見と、職人AIが伴走支援する建設業クライアントの実装ノウハウを基に、ネットワーク工程表の定義・用語・作り方・クリティカルパスの求め方という基礎から、AIによる自動作成までを2026年最新版で完全網羅します。
工程表全般の種類と作り方は工程表とは|種類・作り方からAI自動作成まで、もうひとつの代表形式であるバーチャート工程表の作り方とAI自動作成、建設業のデジタル化の全体像は建設DXの完全ガイドもあわせてご覧ください。
ネットワーク工程表とは|定義とバーチャート・ガントチャートとの違い
ネットワーク工程表とは、各作業を矢印や丸(結合点)で結び、作業同士の前後関係・依存関係を図として表現する工程表です。
作業の流れを「ネットワーク(網の目)」として描くことで、どの作業がどの作業の完了を待つのか、複数の作業がどこで合流・分岐するのかを論理的に把握できます。
建設業では、工程管理の国家資格(施工管理技士)の試験にも出題される、最も体系化された工程表の形式です。
ネットワーク工程表の最大の特徴は、後述するクリティカルパス(工期を決定づける一連の作業の経路)を算出できることです。
これにより、「どの作業が遅れると工期全体に直結するのか」「どの作業には余裕があるのか」を数値で把握でき、重点的に管理すべき作業を特定できます。
PERT(Program Evaluation and Review Technique)やCPM(Critical Path Method)と呼ばれる工程管理手法の考え方が土台になっています。
ネットワーク工程表とバーチャート工程表の違い
ネットワーク工程表とバーチャート工程表の決定的な違いは、作業の依存関係をどう表現するかです。
バーチャート工程表は、縦軸に作業・横軸に日付をとって各作業の期間を横棒で並べるだけなので、ある作業が他の作業を待つ「依存関係」は直感的には見えません。
ネットワーク工程表は、矢印と結合点で前後関係を明示するため、依存関係とクリティカルパスがひと目で論理的に追えます。
その代わり、バーチャートが「誰でも一目で分かる」のに対し、ネットワーク工程表は記号と計算のルールを理解していないと読み書きが難しいという特性があります。
つまり、バーチャートは共有性に優れ、ネットワークは工期管理の精密さに優れる、という補完関係です。
工程表の形式全体の整理は工程表とはでも解説しています。
ネットワーク工程表とガントチャートの違い
ガントチャートは、各作業の進捗率(達成度)を帯の塗りつぶしなどで表現する形式で、見た目はバーチャートに近いものです。
ネットワーク工程表とは表現の目的がそもそも異なり、ガントチャートが「各作業がどこまで進んだか」を見せるのに対し、ネットワーク工程表は「作業全体の論理的なつながりと工期の決定要因」を見せます。
実務では、ネットワークで工期と依存関係を設計し、バーチャートやガントチャートで現場に共有する、という役割分担が現実的です。
ネットワーク工程表の構成要素と用語|作業・結合点・ダミー作業
ネットワーク工程表を読み書きするには、基本となる構成要素と用語を押さえる必要があります。
難しく感じられる原因の多くは、この用語と作図ルールにあります。
作業・結合点・ダミー作業・所要日数
ネットワーク工程表は、主に次の要素で構成されます。
作業(アクティビティ)は、実際に時間と資源を要する仕事で、矢印(実線)で表します。
結合点(イベント/ノード)は、作業の開始点・終了点となる節目で、丸印と番号で表します。
所要日数は、各作業にかかる日数で、矢印の上などに数字で書き込みます。
そして、ネットワーク工程表に特有の重要な要素がダミー作業(疑似作業)です。
ダミー作業は、所要日数を持たない(ゼロ)点線の矢印で、作業同士の論理的な依存関係だけを表すために使います。
たとえば「A作業とB作業が両方終わらないとC作業に進めない」といった合流の関係を、実際の作業を増やさずに正しく表現するための記号です。
このダミー作業の扱いが、ネットワーク工程表を難しく見せる一因になっています。
アロー型(ADM)とサークル型(PDM)の2方式
ネットワーク工程表には、大きく2つの作図方式があります。
アロー型(アローダイアグラム法/ADM)は、作業を矢印で、結合点を丸で表す方式で、日本の建設業や施工管理技士試験で最も一般的に使われます。
前述のダミー作業を使うのはこのアロー型です。
サークル型(プレシデンスダイアグラム法/PDM)は、作業を丸(ノード/ボックス)で表し、矢印は作業間の依存関係だけを示す方式で、Microsoft Projectなど多くのプロジェクト管理ソフトが採用しています。
どちらの方式でも、表現できる依存関係とクリティカルパスの考え方は本質的に同じです。
建設業の現場や資格試験ではアロー型を理解しておくと汎用性が高く、ソフトウェアで管理する場合はサークル型(PDM)に触れる機会が多くなります。
まずは自社が使うツールや目的に合わせて、片方を確実に押さえることをおすすめします。
ネットワーク工程表の作り方|詳細手順5ステップ

ネットワーク工程表の具体的な作り方を、5つのステップで整理します。
アロー型を前提に解説します。
STEP1〜3|作業の洗い出し・順序整理・所要日数の見積もり
最初に、工事に必要な作業をすべて洗い出します。
仮設・基礎・躯体・設備・内装・外構・検査・引き渡しなど、工種ごとに分解し、抜け漏れがないようにリストアップします。
これはバーチャート工程表と共通の工程ですが、ネットワーク工程表では次の依存関係の整理がより重要になります。
次に、洗い出した各作業について「直前に完了していなければならない作業(先行作業)」を明確にします。
どの作業がどの作業の後に来るか、並行できる作業はどれか、複数の作業がどこで合流するかを整理します。
ここがネットワーク工程表の心臓部です。
そして、各作業の所要日数を見積もります。
作業量・投入人員・歩掛をもとに算出しますが、ここに過去の類似工事の経験が反映され、属人化が生じやすいポイントになります。
STEP4〜5|ネットワーク図の作図とクリティカルパスの算出
続いて、整理した依存関係をもとにネットワーク図を作図します。
左から右へ時間が流れるように、結合点(丸)に番号を振り、作業(矢印)でつなぎ、合流の論理関係はダミー作業(点線)で表します。
各作業の矢印には所要日数を記入します。
作図の際は、矢印が逆流しない・同じ結合点間に複数の作業を並行させない(その場合はダミーを使う)といったルールを守ります。
最後に、後述する計算でクリティカルパスを算出します。
開始から終了までのすべての経路のうち、所要日数の合計が最長になる経路がクリティカルパスであり、ここが工期そのものを決定します。
完成した工程表は、現場・協力会社にレビューしてもらい、依存関係や日数の見積もりが実態と合っているかを確認します。
次の章で、このクリティカルパスの求め方を詳しく見ていきます。
ネットワーク工程表のクリティカルパスの求め方|最早・最遅・トータルフロート
ネットワーク工程表の最大の価値が、このクリティカルパスの算出です。
考え方を、計算の流れに沿って整理します。
難しく見えますが、やっていることは「前から足し算」「後ろから引き算」「差を見る」の3段階です。
最早開始時刻と最遅完了時刻
まず、開始から終了に向かって所要日数を足していく前進計算(フォワードパス)を行い、各結合点の最早開始時刻(その作業を最も早く始められる時点)を求めます。
複数の作業が合流する結合点では、合流する経路のうち最も大きい(遅い)値を採用します。
後続の作業は、先行作業がすべて終わらないと始められないからです。
次に、終了から開始に向かって所要日数を引いていく後退計算(バックワードパス)を行い、各結合点の最遅完了時刻(工期を遅らせずにその作業を遅くとも終わらせるべき時点)を求めます。
複数の経路が分岐する結合点では、最も小さい(早い)値を採用します。
これにより、各作業に「いつまでに終えればよいか」の期限が決まります。
トータルフロートとクリティカルパスの特定
各作業について、トータルフロート(総余裕日数)=最遅完了時刻−最早開始時刻−所要日数を計算します。
これは「その作業が、工期全体に影響を与えずに遅らせられる最大の日数」を意味します。
トータルフロートが大きい作業ほど余裕があり、ゼロの作業はまったく余裕がない作業です。
そして、トータルフロートがゼロの作業を開始から終了までたどった経路が、クリティカルパスです。
クリティカルパス上の作業は1日でも遅れると工期全体が遅れるため、最優先で管理すべき作業になります。
逆に、フロートのある作業は、人員や資材の都合に応じて多少の前後調整が可能です。
なお、後続作業の最早開始時刻に影響を与えずに遅らせられる余裕をフリーフロートと呼び、より細かな調整判断に使います。
このクリティカルパスを把握できることこそ、ネットワーク工程表がバーチャート工程表にない強みを持つ理由です。
同時に、作業数が増えるほどこの計算は煩雑になり、手作業では現実的でなくなります。
ここが、後述するAI活用が効く最大のポイントです。
ネットワーク工程表のメリット・デメリット

ネットワーク工程表を使うべきかどうかを、メリットとデメリットの両面から整理します。
ネットワーク工程表の3つのメリット
メリットは大きく3つあります。
第一に、作業の依存関係が明確になることです。
どの作業がどの作業を待つのか、どこで合流・分岐するのかが図として論理的に表現されるため、複雑な工事でも全体の構造を正しく把握できます。
第二に、クリティカルパスが分かることです。
工期を決定づける重点作業が特定できるため、限られた人員・資材をどこに集中すべきかの判断が的確になります。
第三に、遅延の影響を予測できることです。
ある作業が遅れたときに、後続のどの作業にどれだけ波及し、工期にどう影響するかをフロートの計算で評価できます。
これにより、手戻りや遅れに対して「どこまでなら吸収できるか」を数値で判断でき、根拠のある工程調整が可能になります。
精密な工期管理が求められる工事ほど、この強みが生きます。
ネットワーク工程表の3つのデメリット
一方、デメリットも3つあります。
第一に、作成・読み取りに専門知識が必要なことです。
結合点・ダミー作業・フロート計算といったルールを理解していないと、作ることも読むことも難しく、現場の全関係者が直感的に共有するのには向きません。
第二に、作業数が増えると図が複雑になることです。
大規模工事では結合点と矢印が膨大になり、人の手で描き・追うのが困難になります。
第三に、作成と更新に手間がかかることです。
依存関係の整理とクリティカルパスの計算は煩雑で、工事中に変更が出るたびに再計算と作図が必要になります。
これらのデメリットは、いずれも「人が手で計算・作図する」ことに起因しており、後述するAI・専用ツールの活用で大きく軽減できます。
ネットワーク工程表とバーチャート工程表の使い分け
ネットワーク工程表は万能ではなく、バーチャート工程表との使い分けが実務の鍵になります。
判断基準を整理します。
ネットワーク工程表が向く工事
ネットワーク工程表が特に向くのは、作業数が多く、依存関係が複雑で、精密な工期管理が求められる工事です。
大規模ビル建設・大型土木・複合プロジェクトなど、ひとつの作業の遅れが全体に波及しやすく、クリティカルパスの管理が工期遵守を左右する現場に適しています。
工期に対するペナルティが大きい公共工事や、複数の協力会社が並行して動く工事でも力を発揮します。
また、工程の妥当性を発注者や元請に論理的に説明する必要がある場面でも、依存関係とクリティカルパスを示せるネットワーク工程表は説得力があります。
施工管理技士の試験でネットワーク工程表が問われるのも、こうした論理的な工程管理能力が現場で求められるからです。
バーチャート工程表が向く工事と「併用」という解
逆に、作業数が少なく依存関係が単純な工事、関係者への直感的な共有を重視する現場では、バーチャート工程表のほうが向きます。
住宅新築・小規模リフォーム・改修工事など、中小建設業が手がける多くの工事はこちらに当てはまります。
実務で最も現実的なのは、裏側ではネットワークで依存関係とクリティカルパスを管理し、現場への表示はバーチャートで共有する併用です。
ネットワークの論理的な強さと、バーチャートの分かりやすさの「いいとこ取り」ができます。
従来この併用は手間がかかりましたが、後述するAI・専用ツールを使えば、ネットワーク的に管理した工程をバーチャート形式で自動出力することも可能になっています。
建設業全体のデジタル化の流れは建設DXの完全ガイドで整理しています。
Excel・専用ソフトでのネットワーク工程表の作成と限界
ネットワーク工程表を作る道具と、その限界を整理します。
Excelでネットワーク工程表を作る場合
Excelでもネットワーク工程表は作れますが、図形(オートシェイプ)で結合点と矢印を手で配置していく方法が中心になり、バーチャート工程表ほど手軽ではありません。
作業の追加や順序変更のたびに図形を描き直す必要があり、クリティカルパスの計算も関数で組むには手間がかかります。
小規模で依存関係が単純な工事であれば、テンプレートをベースにExcelで作ることも可能ですが、本格的な工期管理には不向きです。
そのため、ネットワーク工程表をExcelで運用するのは「資格試験の学習」や「ごく小規模な工事の概略整理」までと割り切り、実務の本格運用では専用ソフトや施工管理SaaSを検討するのが現実的です。
専用ソフト・施工管理SaaSの活用
専用ソフト(Microsoft Projectなど)は、作業と依存関係を入力すると、クリティカルパスの自動算出・ガント/ネットワーク表示の切り替え・資源管理までを備え、中堅以上の現場に向きます。
施工管理SaaS(ANDPAD・KENTEM等)は、スマホからの工程の閲覧・更新や現場との共有、進捗連携に強く、複数現場の管理に適しています。
これらのツールを使えば、面倒なクリティカルパスの計算はソフトが自動で行ってくれます。
ただし、ツールを入れただけでは「依存関係や所要日数を誰がどう入力するか」という属人化の問題は残ります。
質の高いネットワーク工程表を作るには、結局のところ作業の依存関係と日数を正しく見積もるノウハウが必要です。
中小建設業のデジタル化全体の進め方は中小企業 DXの完全ガイドも参考になります。
ネットワーク工程表の作成でつまずく3つの課題
ネットワーク工程表のメリットは大きい一方で、作成と運用には特有の課題があります。
3つに整理します。
課題①|作成・計算の難しさと専門知識への依存
最大の課題は、作成と計算の難しさです。
結合点・ダミー作業の作図ルール、最早・最遅・フロートの計算は専門知識を要し、習得に時間がかかります。
「理屈は分かるが自分で正確に作る自信がない」という現場担当者は少なくありません。
結果として、論理的に優れたネットワーク工程表が、作れる人の不足によって現場で活用されない、という事態が起きています。
課題②|変更のたびに発生する再計算と作図
第二の課題は、変更のたびの再計算と作図です。
天候不良・資材の納期遅れ・設計変更・手戻りなど、工事中の変動要因は数多くあります。
そのたびに依存関係を見直し、クリティカルパスを再計算し、図を描き直す必要があります。
手作業では負担が大きく、更新が追いつかずに工程表が形骸化する原因になります。
バーチャート工程表以上に、更新の手間が運用のボトルネックになりやすい形式です。
課題③|依存関係・日数見積もりの属人化
第三の課題は、依存関係と日数見積もりの属人化です。
どの作業がどの作業に依存するか、各作業にどれだけの日数を見るかという判断は、ベテラン現場監督の経験に強く依存します。
ネットワーク工程表は形式が論理的なだけに、その土台となる依存関係と日数の見積もりが間違っていれば、計算されたクリティカルパスも実態と合いません。
担当者が異動・退職すると、工程設計の質が一気に落ちるリスクがあります。
つまり、ネットワーク工程表は「論理的に最も優れているが、正確に作り・更新し続けるのが最も難しい」工程表です。
この難しさと更新負担を解消するのが、AIによる自動作成・自動算出です。
ネットワーク工程表をAIで作成する方法|自動作成・クリティカルパスの自動算出

ここからが本記事の核心です。
ネットワーク工程表の作成・計算・更新をAIでどう効率化するのか、具体的なパターンを解説します。
活用①|工事条件から依存関係を整理しネットワークを自動作成
第一の活用は、ネットワーク図そのものの自動作成です。
工事の概要・工種・規模・条件を入力すると、過去の類似工事や標準的な工程パターンから、AIが作業の洗い出しと先行関係(依存関係)の整理を行い、ネットワーク工程表のたたき台を自動で作ります。
手作業で最もつまずきやすい「依存関係の整理と作図」を、AIが下書きしてくれるため、担当者は確認・修正に集中できます。
建設業向けの工程AIエージェント(KENCOPAの工程AIエージェントなど)では、設計図書を読み込んで工程のたたき台を生成する事例も報告されています。
属人化していたベテランの依存関係の判断を、過去データに基づくAIの提案で再現できれば、経験の浅い担当者でも論理的な工程設計の土台を持てるようになります。
活用②|クリティカルパスとフロートの自動算出
第二の活用は、クリティカルパスとフロートの自動算出です。
作業と依存関係・所要日数を入力すれば、前進計算・後退計算・フロート算出といった煩雑な計算をツールやAIが瞬時に行い、クリティカルパスを自動でハイライトします。
手計算では大規模工事で現実的でなかった工程分析が、誰でも・即座に行えるようになります。
さらに、所要日数や人員を変えたときにクリティカルパスがどう変わるか、というシミュレーションも容易になります。
「この作業を2日短縮すると工期は何日縮まるか」「どの作業に人を増やせば最も効果的か」といった工期短縮の検討を、根拠を持って進められます。
これは、勘と経験に頼っていた工程調整を、データに基づく意思決定へ変える大きな一歩です。
活用③|進捗連携による自動更新と「裏ネットワーク・表バーチャート」
第三の活用は、進捗データとの連携による自動更新です。
日報や現場からの進捗報告をデータとして取り込み、実績をネットワーク工程表に反映します。
遅れが出た作業があれば、その影響を後続作業に自動で波及計算し、クリティカルパスへの影響を即座に警告します。
これにより、課題②だった「変更のたびの再計算と作図」の負担がほぼなくなります。
加えて、裏側ではネットワークで依存関係とクリティカルパスを管理しながら、現場への表示は分かりやすいバーチャートで出力する、というハイブリッド運用も可能になります。
ネットワーク工程表の論理的な強さと、バーチャート工程表の共有しやすさを両立できる、実務的に最も理想的な形です。
日報入力や進捗報告を音声入力・生成AIで効率化する考え方はAI 業務効率化の完全ガイド・業務効率化 AIの選び方ガイドとも共通します。
ネットワーク工程表AIの導入を進める3ステップ

ネットワーク工程表のAI化も、いきなり高機能なツールを入れても定着しません。
3ステップで進めます。
STEP1〜2|現状の棚卸しと小さな試行
最初に、現状の工程管理のフローを棚卸しします。
誰が・どの形式(バーチャート/ネットワーク)で・どのツール(Excel/専用ソフト/施工管理SaaS)で工程を作り、どんな頻度で更新し、どこに時間がかかっているのかを書き出します。
多くの中小建設業では「ネットワーク工程表は作れる人がいないので使っていない」「バーチャートで済ませているが依存関係の管理に不安がある」という状態が見えてきます。
次に、特定の1現場・1工種に絞ってAIツールや専用ソフトを試します。
依存関係の整理だけ、クリティカルパスの自動算出だけ、と機能を絞って小さく検証します。
効果(削減時間・工期管理の精度)と使い勝手(現場が無理なく使えるか)を測り、本格導入の判断材料にします。
AIの段階的な導入の進め方はAI 導入の完全ロードマップでも解説しています。
STEP3|運用定着と「裏ネットワーク・表バーチャート」の仕組み化
最後に、運用を定着させます。
標準的な工種の依存関係をテンプレート化し、AIによる自動作成・クリティカルパスの自動算出・進捗連携による更新ルールを決めて、現場全体に展開します。
前述の「裏側はネットワークで管理し、現場にはバーチャートで共有する」仕組みを整えれば、専門知識のない担当者でも、論理的に裏付けされた工程表を扱えるようになります。
ここまで仕組み化できれば、ネットワーク工程表は「作れる人がいないから使えない」「計算と更新が大変で形骸化する」業務から、「AIが依存関係とクリティカルパスを管理し、人は判断に集中する」工程管理の基盤に変わります。
属人化していたベテランの工程設計力を、組織の資産として残せるようになります。
ネットワーク工程表に関するよくある質問
ネットワーク工程表について、建設業の現場監督・経営者から多く寄せられる質問をまとめました。
ネットワーク工程表とバーチャート工程表はどう使い分けますか?
作業数が多く依存関係が複雑で、クリティカルパスの管理が必要な大規模・精密な工事ならネットワーク工程表が向きます。
作業数が少なく依存関係が単純で、関係者への直感的な共有を重視する工事ならバーチャート工程表が向きます。
実務では、裏側でネットワークとして依存関係とクリティカルパスを管理し、現場への表示はバーチャートで共有する併用が最も現実的です。
クリティカルパスとは何ですか?どう求めますか?
クリティカルパスとは、開始から終了までのすべての経路のうち所要日数の合計が最長になる経路で、工期そのものを決定する一連の作業を指します。
求め方は、前進計算で各結合点の最早開始時刻を、後退計算で最遅完了時刻を求め、トータルフロート(最遅完了−最早開始−所要日数)がゼロになる作業をたどります。
クリティカルパス上の作業は1日の遅れが工期全体の遅れに直結するため、最優先で管理します。
アロー型とサークル型はどちらを覚えればよいですか?
日本の建設業や施工管理技士の試験ではアロー型(アローダイアグラム法)が一般的なので、まずはアロー型を押さえると汎用性が高いです。
一方、Microsoft Projectなど多くのソフトはサークル型(PDM)を採用しているため、ツールで管理する場合はサークル型に触れる機会が増えます。
表現できる依存関係とクリティカルパスの考え方は両者で本質的に同じなので、まずは自社の目的に合う片方を確実に理解することをおすすめします。
ネットワーク工程表は手書きで作らないといけませんか?
いいえ。
資格試験の学習では手書き・手計算が前提ですが、実務ではMicrosoft Projectなどの専用ソフトや施工管理SaaSを使えば、依存関係を入力するだけでクリティカルパスを自動算出できます。
さらにAIエージェントを使えば、工事条件から依存関係の整理やたたき台の作成まで自動化でき、手書きの負担は大きく減らせます。
難しい計算はツールに任せ、人は判断に集中するのが今の実務です。
中小建設業でもネットワーク工程表AIを導入できますか?
できます。
汎用の生成AIを作業の洗い出しや依存関係整理の相談相手として使うことから低コストで始められ、クリティカルパスを自動算出する専用ソフトや、中小向けの工程AIエージェントも提供されてきています。
重要なのは、いきなり全社に高機能ツールを入れるのではなく、現状の課題を棚卸しし、1現場・1工種から小さく試して定着させることです。
具体的な進め方は無料相談でご提案しています。
まとめ|ネットワーク工程表は「作る」から「AIに計算させる」へ
ネットワーク工程表とは、各作業を矢印や結合点で結び、作業同士の依存関係を図として表現する工程表です。
作業・結合点・ダミー作業・所要日数で構成され、アロー型(ADM)とサークル型(PDM)の2方式があります。
最大の価値は、前進計算・後退計算・トータルフロートの算出によってクリティカルパス(工期を決定づける経路)を特定できることで、どの作業を重点管理すべきか、遅延がどう波及するかを論理的に把握できます。
一方で、その作成と運用には、作成・計算の難しさと専門知識への依存・変更のたびの再計算と作図・依存関係や日数見積もりの属人化という3つの課題があります。
これらは、工事条件からの依存関係整理とネットワークの自動作成・クリティカルパスとフロートの自動算出・進捗連携による自動更新(裏側はネットワーク、表示はバーチャート)という3つのAI活用で、論理的な強さを保ちながら大きく軽減できます。
導入は「現状整理→小さく試す→運用定着」の3ステップで、現場を巻き込みながら段階的に進めます。
職人AIは、有限会社結設計(創業63年)の現場段取りの知見と、現役エンジニアのAI実装力を組み合わせ、御社の現場フローに合わせたネットワーク工程表の自動作成・クリティカルパスの自動算出を伴走で設計します。
特定のSaaSを売り込むのではなく、専用ソフト・施工管理SaaS・生成AIを中立的に組み合わせ、現場が自走できる仕組みづくりまで支援します。
「ネットワーク工程表は作れる人がいない」「クリティカルパスの計算と更新に追われている」――そんな課題をお持ちなら、まずは無料相談で現状の整理からご一緒させてください。


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